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「先生もその学校を出られたんですか?」
「ええ。今は大学に行ってからの方が良かったなって思ってますが――おなか失礼しますね」
尚晴はご遺体よろしく身体の上に組んでいた腕を解いた。シャツを捲られ、腹を触られる。橘は時々、チノパンの中まで手を入れてくる。最初はびっくりしたが、今ではもうすっかり慣れてしまった。人より動く時間が少ないからか、薬の副作用なのか、おなかの冷えも酷いらしい。
「……先生の場合は進む道が決まっていらっしゃったから、大学は別にいいんじゃないですか?」
「仕事を始める前に、もっと知識の幅を広げておきたかったです。色々な患者様からお話を聞いていると、自分は世間知らずだと思い知らされますよ」
橘は謙虚にそう言って、エスコートするように尚晴を座らせた。
「僕は院まで行きましたけど、先生ほど人間できてる方ってそんなにいないですよ」
「そう買いかぶっていただいても困りますよ。美郷さんは俺が年下だって知っても、態度が変わらないんですね」
「先生は先生ですし」
「いつも年より上に見られるんで、実年齢を言うとコロっとタメ口になる人、結構いるんですよ。別に構わないんですが、美郷さんのそういう感じ、なんか好きです」
「っ……」
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