Chapter 3

9/33
前へ
/181ページ
次へ
 好きという二文字に、胸を鷲掴みにされる思いがした。綿菓子みたいに心がフワフワになる。別に橘は尚晴を好きだと言ったわけではない。そういう態度が好ましいと言われただけなのに、心臓の音が聞こえそうなほど胸が高鳴っている。尚晴の足元に跪いた橘と、目が合った。変な顔をしてしまっていたのか、橘は首を傾げ、その澄んだ目で問い掛けてくる。尚晴は、一気に顔が熱くなるのを感じた。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1738人が本棚に入れています
本棚に追加