1742人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうですよね」
自分の器の小ささに居心地の悪さを覚えながら、尚晴は頷くしかなかった。
「ええ、そうです。段々悪くなったと仰ってましたが、具体的なきっかけはあったんですか?」
それとて言いたいことではないが、治療に必要なら仕方ない。できるだけ卑下するようなことは言わないように話そうと、尚晴は腹を括った。
「具体的な理由になるかどうか――ただ、ずっと仕事に意味を感じられなかったんです。凄くいい職場でしたし、続けられたら良かったと思います。でも、毎日どうして仕事に行かないといけないんだろうって思ってるうちに、朝起きるのが辛くなって、満員電車に乗るのが苦しくて、耐えられなくなったんです。五年くらいで辞めました」
最初のコメントを投稿しよう!