Chapter 4

15/21
前へ
/181ページ
次へ
 橘は合点がいったように、軽くテーブルを叩いたが、尚晴は首を傾げた。 「合コンは行ったことがないので、よく分からないですが……ああいうのは友達と行くんですよね? 婚活のは独り者っていう以外は共通点がない人ばかりです。たまに共通の趣味の人が集まるパーティーもありますけど。一人の方とお話しできるのは、凄く短い時間です。もう慣れましたけど、最初の頃は酸欠になりました」  橘はムースに付いていたプラスティックのスプーンを咥え、首を傾げていた。こういう話になると全然、生活が違うのがよく分かる。それでも噛み合わなさすら楽しかった。 「頻繁に行かれてるんですか?」 「週に一回くらいです」 「そんなに? 知らない女性とそんなに会って何を話すんですか?」 「ああ、参加者は事前にプロフィールカードを書いておくんです。名前、住んでいるところ、血液型、職業、趣味、身長、それに年収まで……」  そこまで話して、橘が頷きながら困惑していることに気が付いた。何度も婚活パーティーに出入りしていると麻痺してくるが、橘のように女性に不自由の無さそうな人からすると、奇妙に映るのかもしれない。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1742人が本棚に入れています
本棚に追加