Chapter 4

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 橘はソファの背に片腕を預け、完全に尚晴の方を向いていた。DVDはいつの間にか本編が始まっている。 「何もないですよ。何度かメールのやり取りをして、それきりです」 「デートに誘わなかったんですか?」 「覚えてないです」 「それは興味なさ過ぎでしょう」 「すぐに連絡が途絶えてしまうことが多くて」 「どうして?」  質問が多くて、段々、授業で正解を言えない生徒みたいな気分になってきた。 「特に話したいこともなくて……」 「なんだ、やっぱり興味ないんじゃないですか」  指摘されて、尚晴はうーんと唸った。女性に興味がないことは分かっているが、知り合っていくうちに、好きになりたいと思っていた。いい加減に接してきたつもりはないが、実際、やり取りがうまく続かない。 「僕、今日、話し過ぎてませんか?」  ほんの少ししか飲んでないが、ワインのせいに違いない。尚晴が頬に手を当てるのを見て、橘は微笑した。 「いいじゃないですか。ずっと彼女ができない人って結構いますけど、本人が気付いてなくても、端から見れば、原因って分かるものなんですよ」  綺麗な顔で、さらりとそんなことを言う。橘だから説得力がある。 「僕の場合もですか?」  話の流れで、そう聞いても構わないだろうと恐る恐る尋ねた。 「美郷さんも本当は分かってるんじゃないですか?」     
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