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ホテルに戻ると着替えるために各自部屋に戻った。 「ちょっと電話をかけるから、先にシャワー使って」 「はい」 お言葉に甘えて、先にシャワーを使わせてもらうことにした。 脱衣場の鏡を見ると、顔や肩が少し赤くなっている。沖縄の太陽をなめていたかな。熱いお湯を浴びると案の定ヒリヒリと染みて、もっとしっかり日焼け止めを塗っておけば良かったと後悔した。 皮がむけるのは嫌だな。まだらになった顔を想像して顔をしかめる。 アメニティの化粧水を顔や肩に塗りドライヤーで髪の毛を乾かしてから部屋に戻ると、ちょうど電話を終えたらしい先輩と交代した。 冷蔵庫からペットボトルの水をとりだしふと窓の外に目をやると、朝とはまるで違う朱と金に染まる光景に目を奪われる。 不意に泣きそうになって目に力を込めた。こんな風に感じるのは、楽しかった1日が終わるのを心が拒絶しているからだろうか。 ━━バカだな。まだ1日旅行は残っているのに。 ふうと息を漏らした瞬間、ふわりと誰かに抱き締められた。 誰か?違うな。本当はすぐに分かっていた。 爽やかな石鹸の香りは、さっき自分が使ったのと同じだ。 「先輩?」 びっくりして身をよじる。 「今だけ……動くな」 命令口調にも関わらず弱々しい声に逆らうことなんて出来なかった。
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