10/25
前へ
/348ページ
次へ
「ここが貸し切り?」 「あんまり広くはないけどね」 光彦先輩の言葉にただただびっくりする。 ホテルの後ろに広がる綺麗なビーチ、そこで泳げるだけでもすごいと思ってたのに、少し離れた岩で遮断されたこの一角が貸し切りで使えるなんてびっくり以外の何者でもない。 もちろん、砂はさらさらで水は透明。遠浅で徐々に色づく海は入るのがもったいないくらい綺麗だ。 「俺はここでのんびりしてるから、みんなは泳いできていいよ」 大きな欠伸をした光彦先輩が備え付けのビーチチェアーにごろりと寝転んだ。 「先輩は泳がなくてもいいんですか?」 「俺?実は我慢できなくて昨夜遅くまでホテルのプールで泳いじゃったんだ。だからちょっと寝てから泳ぐよ」 「先輩が起こすから俺も寝不足です。鍵ぐらい持って行ってくださいよ」 どうやら昨夜は伸也と光彦先輩が同じ部屋だったらしい。 「ごめんごめん。泳ぐことしか頭になかったからさ」 「まあ、いいですけど。せっかく来たから俺は泳ぎますよ」 「シュノーケリングや浮き輪、ビーチボールなんかも借りられるから。それと飲み物も注文すれば届くからね。じゃあおやすみ」 光彦先輩はヒラヒラと手を振り、のび太よりも早く寝てしまった。 「俺もここにいるよ」 どうやら正宗先輩は読書タイムに入るらしい。 「さて、行きますか?」 「了解」 俺達4人はは海に向かって走り出した。
/348ページ

最初のコメントを投稿しよう!

493人が本棚に入れています
本棚に追加