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将来の事を考えるなんて、まだ先の話だと思っていた。中学の次は高校、高校の次は大学、大学を卒業したら就職。大抵の人はそんな漠然とした未来設計しか持ってないだろう。 けれど、この学園の生徒は違う。ほとんどが生まれた時から将来を決められていて、それから外れるのは容易ではない。仕事だけじゃなく結婚までも自由にできないんだ。 金持ちというだけで幸せに暮らしてると思っていたが、全然そうじゃない。俺には想像もつかないほど重いものを背負ってるんだ。 正宗先輩にはすごく感謝している。だから、俺がいることで先輩を助けられるならうんと頷いてあげたい。 だけど、本当に俺が先輩の役に立つんだろうか? 高屋敷グループはすごく大きな組織で、その頂点に立つ社長をサポートしていくには相当な能力と覚悟が必要だ。 色んなことが制約されるだろう。現に父さんも家族と離れて外国で暮らしている。 小学生の頃、運動会に来て欲しくて泣いたことがあった。その時、「寂しい思いさせてごめんな。だけど、これが父さんの仕事なんだ。父さんは仕事に誇りを持って頑張ってるんだ。だから、ごめん」と父さんは俺に頭を下げた。
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