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「さあ、コーヒーが入ったぞ」
高屋敷先輩がテーブルの上にカップを並べてくれた。
ミルクを一穂に渡してやりながら、入れたての香りを楽しむ。一穂はどちらかというと紅茶の方が好きみたいだけど、ミルクを入れるとコーヒーもおいしく飲めるらしい。
少しぎこちない様子でカップを口に運ぶ千景が視界に入った。
「お、美味しいです」
「それは良かった。確か中等部で俺達の次の代の生徒会長をしていた安藤千景君だよね。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
千景は嬉しそうに頭を下げた。
俺以上に緊張してたから良かったな。
千景にとって高屋敷先輩は昔から憧れの存在だったらしく、まさか一緒に仕事が出来るなんて思ってなかったみたいだ。
「まだ夢みたいで信じられないよ」
今朝もそう繰り返していた。
千景は身長178センチで少し短めの黒髪、眼鏡をかけているが決して近寄りがたい雰囲気ではない。意見をまとめるのがうまく、クラスのリーダーとしてみんなに信頼されている。
高屋敷先輩、柿谷先輩、千景を差し置いて俺が会長に選ばれるなんてイマイチ納得できないが、決まった以上頑張るつもりではいる。
ああ、それと会長補佐として一穂が俺を助けてくれる事になっているんだ。俺としては心強い限りだ。
さあ、新生徒会始動だ。
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