球技大会

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高校生になり、生徒会長に選ばれてからも淡々とした日々を過ごしていた。 昼休みの告白は、俺の中では朝の挨拶運動と変わらなかった。 「おはよう」の代わりに「好きです」と言われているだけ。だから、躊躇なく断ることが出来た。 ━━今日は2人か…… 中庭を見下ろしながらため息を付いた。毎日毎日飽きないものだ。そんな風に思いながらも律儀に中庭に足を運ぶ。 すると、そこにいたのは思っても見なかった人物だった。 「誰かと思ったら一穂じゃないか。まさか君が僕に……」 「違います。すみません、すぐに出ていきますから」 「そんなに慌てなくてもいいよ。一穂なら大歓迎だよ。今から生徒会室に行くかい?」 あんなに冷たくしたのに会いに来てくれたのが嬉しくて、つい前みたいに話しかけてしまった。 一穂は首を振り、頭を下げた。 あの頃より身長が伸びて声も若干低くなっている。それに、俺を怖れているように震えていた。 「会長、すみません。違うんです」 「会長か……。もう前みたいに正宗先輩とは呼んでくれないのかな?」 「すみません……」 ほとんど目を合わさないまま、一穂は去っていった。 一穂を突き放したのは俺なのに、寂しさを感じた。そして、一穂と一緒にいた生徒に嫉妬した。 それが桜庭 冬樹を意識した最初だった。
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