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「えっ、怪我人が出た?」
生徒会としての初めての行事である新入生歓迎オリエンテーションは、陶芸とバーベキューをするだけで普通は怪我なんかしない。
━━陶器を壊して手を切ったのか、はたまたふざけていて火傷でもしたのかと思ったが、実際は崖から落ちて骨折したらしい。
「ハメを外しすぎだろ」
呆れて呟く俺に光彦が「それが……」と言いにくそうに続けた。
「まさか………」
「その、まさか。怪我は生徒会長補佐のせいらしいよ」
春休み期間中から無事に終わるよう綿密な計画を立ててきたのに、まさか生徒会役員が問題を起こすなんて。
「伸也はどこにいる?」
「怪我をした生徒、山岸 一穂の家に謝罪に行ってます」
「一穂って……怪我をしたのは一穂なのか?」
「そう。それと桜庭 冬樹。まあ桜庭の方は打ち身や擦り傷程度だそうだが。伸也が正宗に手を出すなと一穂君に詰め寄ったらしい。それで逃げようとした一穂君が崖から足を踏み外し、彼を庇った桜庭もろとも転落、幸いそんなに高さがなかったから2人とも軽傷で済んだんだけど」
また、俺のせいで一穂を傷つけてしまった。
「それにしても、何で伸也は今さらまた一穂君に構うのかな?もう一穂君とは関わってないんだろ?」
「ああ、だけど伸也の独占欲はすごいからな。光宗にも敵意むき出しだったから、未だにあいつには近づかないよ」
「"はとこ"だったかな?面倒だな」
「まあ、可愛い所もあるんだけどな」
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