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伸也と俺は、はとこという関係だ。詳しく言うと、俺の母方の祖父と伸也の母方の祖母が兄妹なんだ。
俺の母も伸也の母も所謂名家と呼ばれる家に嫁ぎ、パーティーだの習い事だのに夢中で、仕事はおろか家事や子育てさえも他人任せにしてきた。
お手伝いさんと二人で広い家に取り残されていた伸也は俺に妙になついて、弟の光宗が近づくのさえ嫌がった。
小さい時はいずれ俺と結婚すると信じていて、大好きと言いながらよく抱きつかれたが、それが今でも変わってないなんて思わなかった。
「やっぱり伸也を生徒会長補佐にしたのはまずかったんじゃないのか?」
光彦の言葉にも頷ける。
当初生徒会長補佐を置くつもりはなかったが、入学式の日に生徒会室を訪ねてきて何度も頼み込む伸也に根負けして、補佐に任命してしまったんだ。
「準備に携わってないから仕方ないかもしれないけど、俺達の努力を踏みにじるような奴とはやっていけそうもないよ」
「俺も無理!」
去年の副会長や書記にも文句を言われて迷ったが、たった一度の失敗でやめさせるのは違う気がした。
もしまた何かあったら俺が全て責任を取るからもう一度だけチャンスをくれないかと頭を下げて、何とか除名処分を回避した。
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