球技大会

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夏のある日、パソコンを見ながら光彦と伸也が楽しそうに笑っていた。 「にゃんこ王子、可愛いなぁ。これ、気持ち良さそうにクロとお昼寝してる」 2人が見ているのは学園の裏サイトで、記事には桜庭が黒猫を抱いて日陰で寝ている写真が添付されている。 これは桜庭本人の投稿なのか?いや、どう見てもこれは隠し撮りだから違うだろう。桜庭は知らないのかもしれない。 それにしてもにゃんこ王子ってなんだ? 「最近やっとクロがなついてくれたみたいなんだ。冬樹がこっそりと裏庭に行く姿が微笑ましくて、つい笑いそうになるんだよ」 「彼はまだこのサイトに気づいてないの?」 「うん。可愛い冬樹が見たいから、みんな言わないしね」 2人の会話を聞いている限りでは、やはり桜庭は自分の写真が無断で載せられていることに気づいてないみたいだ。 そこに副会長と書記の先輩が入ってきた。 「にゃんこ王子見てるのか、やっばり可愛いな。でも俺は蹴りぐるみを抱いたのが好きだな」 「カニのヤツな。あれは可愛い。俺もぎゅっとされたいよ」 またにゃんこ王子だ。もしかしてこの部屋でにゃんこ王子を知らないのは俺だけなのか? それにしても、どうして誰も桜庭本人に無断で写真が載せられていることに異議を唱えないんだろう。これは犯罪じゃないのか? 「光彦、この記事は……」 「もしかして正宗は知らなかったの?にゃんこ王子、最初から読んでみて。感動するよ」 「にゃんこ王子…」 桜庭は外部生だから知らないのは分かるけれど、内部生で知らない奴がいるなんてびっくりだよ。正宗はもうちょい世間に関心を向けろと光彦に説教されてしまった。
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