球技大会

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「気が向いたらな」 関心がない風を装いながらも、家に帰ると早速裏サイトをチェックした。 クロか……。 まだ子猫の時に、1度だけなつかせようとしたことがある。周りに誰もいないことを確かめた俺はクロの前にしゃがみこみ、なるべく優しい声で「おいで」と呼び掛けた。 品定めをするようにゴールドの目が俺をひたと捉える。 ずいぶん長い時間に思えたが、実際はほんの数秒だったんだろう。ツンと横を向いたクロは、何事もなかったかのように優雅に歩み去った。 しっぽをピンと立て、足を動かす度に背中の筋肉がしなやかに動く様は美しいとしか言いようがない。 俺はそれ以上努力する事もなく、あっさりとクロを手なずけることを諦めた。 けれど、桜庭は違った。諦めることなく、ゆっくり確実にクロとの信頼関係を築いていったんだ。 恵まれた容姿にばかり目が行きがちだが、桜庭という男は根気強く目的を達するための努力が出来るということだ。 それにしても、こんなに沢山の写真を撮られていても気づかないなんて……。 でも、確かに可愛い。 キラキラの光の中、桜庭がクロを抱き上げて柔らかい眼差しで見つめていた。桜庭だけじゃなくクロも笑っているように見える微笑ましい写真は心を温かくする。 ━━桜庭 冬樹と一度ちゃんと話してみたいな。
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