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「彼女は犬神玲奈」
「こ……こんにちは……」
玲奈はそう言うと立ち上がり頭を下げた。
「君は……」
啓人がそう言うと玲奈の顔が次第に赤くなってゆく。春子は状況が掴めないでいたが何となく状況は察したらしい。
「それで、この娘とここで見合いでもしろってことですか? 教授」
「残念だが違うな、この玲奈君は君の仕事上のパートナーになる」
「じゃあ、この娘が」
「そう、玲奈君は霊媒体質……まあ簡単に言えば霊能力者というわけさ」
「その、質問良いか? 教授」
「ああ、いいとも」
「これから仕事やるっていうときに聞くのもなんだが、なんで教授が仕事をやらないんだ? 見たところ彼女、教授に一番心を開いているみたいだし」
啓人の質問に高島はいい質問だと一言言うとテーブルにある紅茶を飲み始めた。その間玲奈は、高島の服の裾を掴みながら啓人を見てくるが目が合うと途端に目をそらした。
顔も整っていることから、きっと相当男慣れしていないお嬢様なんだろうなと啓人はこの時まで思っていた。
「私は大学教授だからね、色々と忙しんだ。」
「なるほど、でも、彼女はあまり乗り気ではないみたいだが」
「ああ、それに関しては心配しなくていい。彼女は心を開くのに時間がかかるだけだ。時期に慣れるさ」
「なるほど」
啓人はそう言うとポケットから煙草を取り出したが高島に止められた。
「君、ここは禁煙だ」
そう言われると啓人は大きくため息をつき、不満げに煙草をポケットへとしまい込んだ。
「そういうわけで、仕事をしてもらおうか」
高島はそう言うと懐から地図と資料を机の上に出す。地図に印が描かれているのは市内にある神楽岡付近の弁天台高校、そして資料には女子生徒の顔写真と簡単な経歴が書かれていた。
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