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「今回の仕事は、自殺した女子生徒の幽霊を成仏してやってくれ……だそうだ」
高島がそう言うと玲奈は体をびくつかせたが深呼吸をし、心を落ち着かせると再度配られた資料に目を通しはじめた。
「それで、値段の方は」
「一仕事、ざっと十五万」
「俺は何をすればいい」
「玲奈君のサポートだ。君は武道にも少し心得があるのだろう?」
「まあ」
「それを生かして彼女をサポートしてやってくれ。あと、これを渡しておこう」
高島はそう言うと部屋の中のショーケースの中から銀色の拳銃を取り出した。しかし拳銃といっても特殊な形をしており、まるで、おもちゃの拳銃のような形状をしている。
「これは?」
「霊的なものも人間も打ち抜くことのできる拳銃トランスライザーさ、FP45簡易拳銃をモデルにしている」
「ちょっとまて、最悪の場合、俺に前科が付くってことか?」
「事実上そうなるかもしれないが、社会的には高島グループの力を使って隠し通すさ、とりあえずこの仕事で将来が危うくなるなんてことはさせない」
「おいおい、冗談じゃないぜ……」
「かといってやめるのか?」
「……やめるわきゃねえだろ」
「決まりだな、なら明日から取りかかってくれ」
高島はそう言って啓人と連絡先を交換した。アイコンは予想通りどこかの民族のお面で啓人は教授らしいなと心の中で呟いた。
連絡先を交換すると啓人と玲奈は高島の部屋を出た。
ビルを出るとあたりはすっかり薄暗くなっており、夕方のオフィス街には帰宅途中のサラリーマン達がちらほらといる。
そんな中、啓人と玲奈は二人並んではいたが会話をすることなく、気まずい雰囲気のまま駅に向かって歩いていた。
「な……なあ」
気まずい雰囲気を打ち消すように啓人は玲奈に話しかけた。話しかけられた玲奈は一瞬全身をびくつかせたが啓人の方を向いた。
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