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プロローグ
その丘の上にある古びた洋館は、死神屋敷と呼ばれていて、薄気味悪くて誰も近寄らない。
私はここで、誰にも気づかれず、このまま死んじゃうのかな。
掠れていく視界、薄れていく意識、地面に横たわる私の体に落ちる雨が、どんどん体温を奪っていく。
これは、消えてしまいたいと願った罰なんだろうか。
耳に入る雨音に混じって、微かに誰かの足音が聞こえる。
力を振り絞り、震える唇を私は動かす。
お願い。死にたくない。
どうか私に気づいて――――。
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