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「先輩のくだらないゲームのせいで、こっちは残業続きです」 「悪ぃ悪ぃ」  淡々とした口調で不満を述べた黒髪の青年に、男は全然悪びれてない様子で謝罪する。  黒髪の青年は、ため息をついた。 「……あの時、なぜ邪魔をしたんですか?」 「あの時?」 「私が彼女を居るべき場所に、連れて行こうとした時です」  黒髪の青年の問いに、ああ、と男が微笑する。 「こうやって居るべき場所に戻すつもりでいたなら、なぜ邪魔をしたのか理解できませんね」    そう言った黒髪の青年の言葉に、男は顎に手をあてる。 「黒猫が逃げ回ってた理由が、あの子にもう一度会う為だって思ってたからさ~~」 「逃げられてたんですか?」 「不覚にも」  男は、ごまかすように笑うと、話を続けた。 「最悪なことに波長があっちまって、黒猫はあの子の魂、連れてくるし。おまけに魂は、記憶喪失。色々手続き踏むのもめんど~だから、生きている黒猫ともっかい出会う縁をつくって、ついで記憶も早く戻ったら一石二鳥かな~って……」  男はポリポリと頬をかく。  「……つもりだったんだけど、黒猫が結びたかった縁は違ったんだなぁ」    感慨深げにそう言った男に、黒髪の青年は言った。 「縁結びの神様には、程遠いですね」  黒髪の青年が不気味な笑みを浮かべたのをみた男は、ぎょっとする。 「だから、こえーよ、その顔!」 「……怖い? 微笑んでるんですが」  黒髪の青年が首を傾げると、男はフッと笑う。 「まあ、その通り。俺は何もしていない。魂が身体に戻ろうと消えていったのは、あの子自身が、縁を結んだからだ」
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