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「助ける……って」  少年は戸惑うような声を出した。 「私、まだ死んでないんです。生き返りたいけど、誰にも見えないままじゃどうにもできない」  私は下げた頭をゆっくりと上げる。 「記憶がなくて身体に戻れなくて」  私の言葉に、少年は思い出すような顔をする。 「そういえば、仮とか何とか……。じゃ、生霊ってこと?」 「仮幽霊って神様は呼んでて」 「神様?」  私は頷く。 「神様の仕事を期限内に代わりにこなせば、身体に戻してくれるってゲームをしてるんです」 「は? 普通には、戻してくんねぇの?」 「手続きがめんどうだって」  「はぁ~? そんなやる気のないやつ本当に神様かよ」  私はあの何もない白い部屋で出会ったやる気のなさそうな神様を思い浮かべた。  ピンと黒いハットからはねた毛、気だるそうな話し方――――確かに神様らしい威厳を感じない。  だけど―――― 「信じるしかないから。このまま死神に見つかったら死ぬらしいんです。私……自分が誰なのかもわからず死ぬなんて嫌だ……」  私は自分の制服のスカートをきゅと掴んだ。 「ゲームの契約を交わして、気づいたらあなたの家にいたんです。あなたが私を見えるから、神様がそうしたのかなって」 「俺、幽霊見たのはじめてだけど……」  そう言って少年は深くため息をつくと、考えるように頭を抑えた。 「悪いけど、他に見える奴を探してくれない? こんなことが現実だと信じられないし、俺にできることがあると思えない」  きっぱりと私に言い放った少年は、とても冷めた目をしていた。
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