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「あーー、そういうことね」  一人納得したように呟く男を私は虚ろに見つめる。 「……死にたくない」  私の口から溢れるようにそう言葉が出た。 「私、死にたくない……」  声が震える。恐怖と悲しみで涙が込み上げてくる。  そんな私をみて、男はポリポリと額をかいた。 「じゃ、ゲームするか?」 「え?」  唐突な男の言葉に私は面食らう。 「俺の仕事を変わりにやってくれたら、めんどくさい手順を踏んで元の体に戻してやってもいい」  そういいながら、男は左腕につけていた腕時計に視線を落とした。 「今日が終わる。ゲームの期限は、残り99日。どうする?」 「……ゲームって」  私は込み上げてきた涙を拭った。  なんだかゲームというより、男がしたくない仕事を押し付けようとしている気がする。 「……元の体に戻せるの? あなた一体……なんなの?」  私が尋ねると、男は、ニヤリと笑い、トンっと地面を跳ねた。  私は、固まった。  地面を跳ねた男が、そのまま宙に浮いていたからだ。 「まぁ、俺は縁結びの神様ってとこかな」  そして、男はやる気のなさそうな口調で、私にそう言ったのだ。
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