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ほどなく彼女の両親が亡くなってね、一人娘の手に遺産と保険金が転がり込んできた。
なかなかの資産家だったから、彼女はスマホに願う前に土下座して親に頼んだそうなんだ。でも、まだ正式に婚約したわけでもないし、いい機会だから彼とは別れなさいと言われたんだって。
それで、彼女の天秤は大きく彼の方に傾いたわけ。
慈しんで育ててくれた親が死ぬかもしれないと、うっすらわかっていただろうに、彼女は願いごとをしてしまった。
背に腹は変えられないってやつかね。
で、どうなったって?
そうだね、じゃあ、彼のサイン済みの婚姻届のこと覚えてる?
彼女はそれにサインして提出し、正式に彼の妻になったんだ。
それから自宅をリフォームして、病院と同じ看護ができるような環境に整えてさ、彼を引き取ったんだって。
二人だけの生活が始まって……それからずっと献身的に彼の面倒みてるらしいよ。
うん、不思議だよね。
三つめの願いのことだろう?
彼の体が元通りになるように、なんで願わなかったのかねえ?
あとわかってるのは、田舎の病院に息子を連れ帰ろうと東京に向かっていた彼の両親が、事故で二人とも即死してしまったことだけだよ。
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