【 10 】

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 口づけの合間に呻くように言った蒼馬は、苦しげに顔をしかめながら、何度も唇を吸った。角度を変え、深く重なった唇から、強引に舌がねじ込まれる。何もかも滅茶苦茶にするように口内を掻き回されて、下肢が熱くなっていく。呼吸を乱しながら、蒼馬の腿が白縫の膝を割り開く。強引に押し入ると、白縫の足の付け根をぐいと押し上げた。 「んっ……」  漏れ出た声を飲み込まれ、呼吸も脈も乱される。控えめに動く腿に、否応なしに白縫の熱は高められていった。 「今夜は帰るな。空が白むまで、お前を抱く」  息を荒げながら紡ぐ情熱的な言葉に、体が震える。自分はこの言葉が聞きたいが為、ここへ来たのかもしれない。返事などしない。一度離れた蒼馬の唇を、白縫は返事の代わりに追いかけて口づけた。
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