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【 11 】R18
晩夏は日が沈むと、あっという間に暗闇が押し寄せる。月明かりが満ちた部屋は思いのほか明るくて、蒼馬に赤らんだ顔を見られるのが恥ずかしかった。
「何度も口づけを交わしているのに、お前は少しも慣れないな」
呆れられているのかと不安になっていると、緊張に強ばった唇を舐められる。ぶるっと身震いすると、蒼馬の唇が重ねられたまま笑った。
「そう言う、うぶなところが可愛い」
「か、可愛いなどと、言うな……」
上と下の唇を交互に吸われ、着物の裾を払った手で股間を弄られ、堪えきれない興奮に言葉が切れ切れになる。かちっと互いの歯がぶつかり、自然と開いた歯列の隙間から、蒼馬の舌が差し込まれてきた。上顎や歯の裏側を辿られ、同時に性器を擦り上げられる。蒼馬の手の中でそれは反り返り、吐く息が艶めいていく。
「可愛いだろう? 俺に会いたくて待っておったのだから」
「だ、誰が会いたい、などと……」
口づけに翻弄された舌はうまく動かせず、舌足らずな口調になった。
何も言っていないのに、なぜ白縫が蒼馬に会いたくなってここへ来たと気づいたのだろう。この男は時々こうして白縫の心を読むから、油断がならない。
「そうか?」
性器に指を絡めたまま、甘い声で囁く蒼馬に、白縫は涙目で睨みつけるしかない。反論も許さない激しい口づけに、抵抗する気持ちにはなれなかった。
息継ぎすることすら惜しいとでも言うように、貪るように口づけながら、蒼馬は白縫の着物を脱がせていく。全裸になった白縫の体を毛皮の上に横たえると、今度は自分も手早く着物を脱いでいった。
うつ伏せたほうがいいのかと、身動きする白縫を蒼馬が押し留める。
「今日は白縫の顔を、始めから最後まで見ておきたい」
(最初……?)
何のことかと一瞬わからなかったが、次の瞬間には顔から火が噴き出しそうなほど熱くなった。蒼馬は最初の閨を指して言ったのだ。
「な、な、な何を、言う……お前の顔など、み、見たく、ない……」
無様なほど声が震え、蒼馬に聞こえてしまうんじゃないかと思うほど心臓がばくばくと脈打っている。まともに目も合わせられなくて、視線がうろうろと泳いでしまう。
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