第3章 それからのヤマト

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俺はヤマト。 闇のハンター。 「行って来る」 「気を付けろよ」 ワモンのセリフが追いかけて来る。 デシャブ……いや、いつもの会話だ。 街は静かだ。 立派な建物に目星を付け、こっそり侵入する。 お宝の入ってそうなケースをこじあけ、ごっそりブツを頂く。 いつもながら己の見事な手腕に酔いしれる。 パタパタパタ。 誰か来る。 身を硬くして息をひそめた。 パチン しまった。灯りを点けやがった。 「きゃーーーー」 髪を振り乱して女が叫ぶ。 茶色い長い髪が宙を舞う。 「茶色い……茶色……チャ……チャコ……?」 無意識に呟いたその名に胸がトクンと鳴る。 「きゃー、ヤ、ヤマト……え……ヤマト?」 電撃のようなフラッシュバックに襲われる。 「チャコ……チャコなのか?」 「ヤマト……ヤマトなの?」 ふたりの歴史が走馬灯のように脳内スクリーンを流れる。 「チャコ……遂に人間に……また、会えたのか」 「ヤマトなのね?うそ……信じらんない」 **************************** ふたりが初めて名乗り合ったのは呪いの洋館だった。 あの時は無残にも人間のせいで引き裂かれた。 その後、俺の神様への祈りが通じ、再び出会えた。 だが、思いを遂げる前に、またも人間によって離れ離れに……。 そして、今……。 神様の願いは一度しか叶えられぬはずなのに、なぜ……?
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