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第5章 お掃除ロボット「ヤマト」
妄想コン「お掃除」参加作品です
「大変だチャコ。やつら大変なものを入手しやがった」
ヤマトが血相を変えて二人の部屋に飛び込んで来た。
息は乱れ、黒い肩が激しく上下している。
「何のこと?」
新生活の準備をしていたチャコが振り向いた。
「これだ。奴らから、かすめ取って来た」
ヤマトはガサガサと紙を広げる。
「お掃除ロボットヤマト」という大きな文字が見えた。
要点だけ書かれた簡易取説である。
「いいか、読むぞ……
隠れたヤマトの おそうじょします」
「おそうじょ?お掃除じゃないの?」
「いや、おそうじょって書いてある。続き読むぞ。
AIが容姿を審判し、ヤマトを確認しましたなら一毛良枝します」
「一毛って誰?
ぼうや~♪」
「それは市原悦子……
じゃなくて一網打尽の間違いだろう。
えーと、圧縮お袋にヤマトを収容するだけ楽ちんポイにご注意してください」
「なんか日本製じゃないみたいね」
「俺達、おそうじょされちまうかもしれんな」
「そんな……嫌よ!何度も生まれ変わって、ようやく一緒になれたのに……」
「そこで、これ作ってみたんだが、どうかな」
トイレットペーパーを水で固めたような歪な箱を差し出す。
「何なの?」
「これを被って変身するのさ」
「こんにちは。お便りありがとうございます」
「それは返信……
じゃなくて無機物に変身するんだ」
「大丈夫かしら?」
「ああっ!あれは?」
部屋の向こうから平べったい物体が床を滑ってくる。
「「キターーーーーーーーー!」」
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