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現われたのはお掃除ロボット「ヤマト」だ。
ヤマトのYをかたどったオシャレなフォルム。
心憎いほどにギラギラと黒光りしている。
「ヤマト」は、ふたりの間に割って入り、いち早くヤマトを確認した。
ウィーン…キュルキュル……
チカチカッ
「ヤマト」の文字が点灯しヤマト発見を知らせる。
「ヤマト!早くそれを被るのよ」
「おお、そうか」
ヤマトは白い箱を被って身を縮めた。
「ヤマト」のランプが消え、「家具」の文字が点滅し始めた。
白い箱が家具と認定されたのだ。
偽装作戦は成功した。
しかし……
本体ノズルから水が噴射され、無数の触手が箱を擦り初める。
「ヤバイ、おそうじょ始めたぞ!ペーパーが溶けちまう」
「ヤマトーッ!」
チャコが白い箱ごとヤマトに覆い被さった。
動きに反応し、ロボットヤマトがアイ―ン……
いや、ウイーンと唸る。
折り重なった物体を改めて「家具」と認定した。
AIはヤマトを黒と記憶しているため、茶色づくめのチャコは物でしか無いのだ。
どんなに水を掛けられゴシゴシ擦られてもチャコはピクリともしなかった。
仕上げのワックスを噴射するとロボットヤマトは床を走り去って行った。
「助かった」
ヤマトがドロドロの箱から這い出す。
「いいえ、やっぱり、この身体ではだめよ。私たち今度こそ人間に生まれ代わるのよ」
チャコは高らかに宣言した。
高級ワックスで艶を増した羽は西日で緋色に輝き、その横顔は気高く誰よりも美しく見え、ヤマトは惚れ直したのであった。
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