30人が本棚に入れています
本棚に追加
「行って来る」
俺はネオンサインに目を細め、背中越しに言い放った。
「気を付けろよ」
ワモンのセリフが追いかけて来る。
「ああ、クリスマス前だからな」
確かにイルミネーションの氾濫で仕事がやり難くなっている。
「いや、その……洋館に近付くな」
「は?そっちか。デカいナリしてチキンだな」
俺は笑い飛ばした。
呪いの館の都市伝説は、闇稼業に勤しむ俺たちの間で噂されていた。
夜中に忽然と現れた洋館の窓から美女が手招きをし、入ったが最後、出られなくなると言うのだ。
「嫌な予感がする。ヤマト、今日はやめろ」
ワモンが食い下がる。
「馬鹿言え。奴らの警戒が緩む今が稼ぎ時だ」
親友の手を振り切って、俺はアジトを後にした。
最初のコメントを投稿しよう!