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僕は、目を見開いた。
その目をパソコンに見やった刹那の、新たな投稿のメッセージ。
クリックし――僕は、タイムラインを更新した。
我悟空@gakintyo
こっち に き て くれ るよ ね
「……嘘だ、はははっこんなの嘘だ」
通話越しの、震える声。
「あー、なんだろう。この……手……サビ……サビ?! ははは、何の冗談だよ。俺の部屋のゴミ箱のティッシュの数よりひでえじゃん……」
僕は、言葉を失った。
荒垣の声が、少しずつ何かに浸食されていく。
囁き声のような何かに。ざわざわとした、不愉快な金属音に。
「いいか、稲葉……」かすかに、荒垣の声が聞こえた。泣いていた。「俺が馬鹿だった。あの言葉の噂は……マジだ……絶対調べちゃだめだ……でも、なんで……」
金属音が、どんどんと高まる。
囁き声が、笑い声に変わる。子供の笑い声に。不気味な反響音に。
「なんで俺があああ! 嫌だ! やだああああ! ああっ!」
ズザザ、ガチャ、ズブズブ。
荒垣の断末魔が、飲み込まれた。
僕は、スマホを握って固まったまま、動けなかった。
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