「口裂け女」起源異説

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 さらに遡って江戸時代にも、『怪談老の杖』という怪談集には 「大窪百人町(現在の東京都新宿)で、雨の中、権助という男がずぶ濡れの女に出会い、傘に入るよう勧めると振り向いた女の顔は口が耳まで裂けていた……」  という話が載っているし、  読本『絵本小夜時雨』には 「吉原の遊郭で客が廊下を歩いていた太夫を引き留めると、振り向いた太夫の顔は口が耳まで裂けており、二度とその客は遊郭に行かなくなった……」  とある。 「深夜、タクシーに若い女性を乗せ、目的地について後部座席を振り返ると、そこに女性の姿はなく、シートがぐっしょり水に濡れていた……」  というあの有名な「幽霊を車に乗せた」話も、実は同様のモチーフの話がアメリカでは駅馬車時代から語られていたりするし、この「口裂け女」の原型となる話も、もっと古くから語られていたのかもしれない……。  鳥山石燕先生風にいえば、  朧げな祖父との思い出の中で、我、そんなことを思いぬ……。                    (「口裂け女」起源異説 了)
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