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翌朝、再び部屋に戻って来た栗色の髪の少女を他の者たちが優しく出迎えます。
疲弊したような少女に次々と、労わるような優しげな声が投げかけられます。
栗色の髪の少女――マルーンはそれらの声を一身に受けながら、フラフラとした足取りで最奥のベッドに向かうと、糸の切れた操り人形のように力なくその上に座りこみました。
「くそっ」
そんな中、一人の少女がマルーンの近くに寄ってきて、その隣に座ります。赤髪の少女――レイラはもうすぐ二十歳。この部屋にいる少女たちの中では最年長になります。彼女をそっと抱きしめました。
「マルーン、大丈夫か?」
レイラは、マルーンが微かに震えているのを感じ取ったようで、一瞬顔をしかめてから、彼女を包む腕に力を込めます。
「よく頑張ったな、マルーン。お疲れ様」
先程とは真逆の、慈愛に満ちたレイラの声の後には、マルーンのすすり泣く声だけが薄暗い部屋に響いているのでした。
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