うたた寝

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思い出していたら頬が緩んできた。 やばい、何度も言うがここは電車の中なのだ。 きりっと表情を引き締め、携帯をカバンの中に入れた。 もうすぐ降りる駅。 すごく眠いがここで寝てしまったら確実に寝過ごしてしまう。 背筋をピンと立て、日が落ちてしまった窓の外を眺めた。 世間はもうすぐクリスマス。 佳波さんと3度目のクリスマス。 付き合って初めてむかえるクリスマス。 どこに行こうか、何をプレゼントしようか、家で過ごすのもいいよね。 考えるだけでわくわくする。 止まった電車を降りて歩き慣れた道を歩く。 周りを見ても誰もいない。 まるで真っ暗な世界に1人取り残されたような気がして、急に心細くなった。 冷たい空気の中1人。 覚えず早足になった。 かつかつとかかとが鳴る。 昔から暗いのは苦手だ。1人だとなおさら。 もう大人なのに。 私はため息を落とした。 少し歩くと目的地に到着した。 佳波さんが住んでいるマンション。 半年ほど前にもらった合鍵で中に入ると途端にほっとして、玄関に座り込んでしまった。 早く佳波さんに会いたいなぁ……。 なんて考えるが、寒さに耐えきれなくなって立ち上がった。
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