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あきらちゃんはそんな私を見た。
「亜夜?どうしたの?」
「え?あ、うん、ごめん。何でもないよ」
はっとしてあきらちゃんを見る。
あきらちゃんは「あれ彼氏かな」なんて呟いて。
どきっとした。まさか、そんな。だって。
佳波さんがいた方を見るともうその姿は消えていた。
「彼氏、なのかな」
なんて平気なふりをして言う。
ほんとは全然平気じゃない。
できることならすぐに佳波さんのとこに走って行きたかった。
だけど追いかける勇気なんてなくて。
「もう9時だし今日は帰る?」
あきらちゃんは私の様子に気がついたのか、そう言った。
「うん、そうだね」
「じゃあまたね。ばいばい」
「ばいばい」
手を振って別れる。
気を遣わせちゃったかなぁ……。
1人になると周りがよく目に入ってくる。
クリスマスに向けて飾られた街路樹。
キラキラしてて綺麗なのに今はそのキラキラが見たくなかった。
ねぇ、佳波さん、あの人は誰?
佳波さんを信じてないわけじゃない。
だけど、不安で不安でたまらない。
確かめるのも怖くて、でも確かめたくて。
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