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靴を脱いでリビングへ。真っ暗な部屋にはもちろん佳波さんはいない。
分かってはいても1人だとやっぱりさみしい。
リビングの電気をつける気にもならず、とりあえず洗面所に向かった。
佳波さんが帰ってくるまで何をしようかな……。
これはいつも考える。
で、いつも結局携帯を触っているといつの間にか時間が経っているのだ。
本当は佳波さんのためにご飯でも作っていたらいいんだろうけど、恥ずかしいことに私は料理が全くできない。
以前、佳波さんと一緒にご飯を作ろうとした。
その時から佳波さんは私がキッチンに立つことを禁止したのだ。
禁止されるほどひどいとは思っていなかった私はショックで、だけど絶対にダメだと言われたのでしぶしぶ受け入れている。
それでも練習しないと上手くはならない。
家で密かに包丁の練習をした時、手を切った。
その傷を見た佳波さんはすごく怒った。
「私だって佳波さんのために……」
そんなこと言ったって仕方がないのだけど。
再びリビングへ向かうとその途中にあった部屋に気付いた。
私はほぼ無意識にその部屋に入っていた。
だってとても魅力的だったから。
眠かったから。
ベッドが私を呼んでいたんだもん。
そう心の中で言い訳をして、私はベッドに横になった。
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