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遠くで音がした。
バタンってドアが閉まる音と足音。
私の名前を呼ぶ佳波さんの声。
だけど目を開けることすらも億劫で、また眠りに沈んだ。
それからどのくらい時間が経ったのだろうか。
「亜夜、起きて」
声とともに肩を揺さぶられた。
「んん……」
すごく眠たくて、だけど頑張って目を開けるとそこには大好きな人の姿が。
「せんせぇ……」
嬉しくて手を伸ばすと握ってくれた。
「あはは、その呼び方久しぶり」
先生、もとい佳波さんは笑いながらもう片方の手で私の頭を撫でた。
廊下の光が部屋に漏れている。
そこで覚醒した。
「佳波さん……?」
「ん?」
名前を呼ぶといつものように笑ってくれて、でも急に恥ずかしくなって空いた手で顔を隠そうとした。
しかし佳波さんが手首を掴んだ。
「初めて見たなぁ、寝起きの亜夜」
佳波さんはそう言って意地悪く笑う。
私はさらに恥ずかしくて顔が熱くなった。
「佳波さん……!」
部屋の電気がついてなくてよかった。
きっと今真っ赤だ。
「ごめんごめん。あまりにも可愛くて」
佳波さんは笑いながらそう言うと私の手を離してベッドから離れようとした。
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