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ふと時計を見ると9時。
「あ!」
佳波さんは突然大きな声をあげた私を不思議そうに見た。
「ごめんなさい、家に連絡してなくて……。ご飯中だけど、電話してもいいですか?」
実家暮らしの私はご飯を食べて帰るときや遅くなるときはいつも連絡している。
でも今日は忘れていた。
佳波さんは気にした様子もなく「いいよ」と言ってくれた。
「ママ、ごめん、遅くなって。今日ご飯食べて帰るから。帰りも遅くなると思う」
ママは連絡が遅くなったことには何も思っていないよう。
よかった、怒られるかと思った。
でもなんとなく分かっていたのかな。
私はママに佳波さんと付き合っていることも、付き合っている人がいることも言っていない。
以前1度彼氏はいないのか、と聞かれたが「いない」と答えるとそれ以来聞かなくなった。
だけど、最近思う。
付き合っている人がいることには気が付いているのかな、って。
まさかそれが女の人だとは思わないだろうけど。
さらに先生だった人で、年は12も離れてるなんて。
改めて考えると自分でもすごいと思った。
よく佳波さんが相手にしてくれたな、って。
ひとまわりも離れてて。
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