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タイムリミットはあと少し。面接室に呼ばれるまでマリンは逃げ場のない珍獣の孤島に打ち上げられた行方不明者となっている。いくら叫んでも誰も助けにきてくれない。無防備な彼女は容赦ない氷の視線を四方八方から投げかけられている。彼女が座るところは春うららかな公園のベンチではない。荒れ狂う大海原のいかだで無援を嘆きあがく遭難者。マリンは極上の見放された気分を味わっている。
そもそも普通の女子のマリンが美容補助食品業界トップメーカー『ゴッドマザー』の副社長デイモンの秘書に応募したのが間違いだった。
最終的面接の20名の中に残ったのは幸運どころかまさかの不運であったという真実に気づいたのは数分前という信じがたい事実。
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