不思議な国のマリン

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身長158センチ体重50キロのマリンは凍てつくシベリアに裸同然で送り込まれた異星人。 彼女より15センチ以上手足が長い上体重はマリンとほぼ同じという、ファッション雑誌から抜け出た美女軍団に囲まれている。誰でも変な幻想を抱かずにいられまい。現実逃避を繰り返している内に脳内は僻みネタで持ちきりだ。 『私は彼女たちから見たら石器時代の人よね。』 深い井戸の底から地上に向けて誰にも聞こえない声で蛙のマリンは毒づいた。 美女軍団に囲まれるのは男性にはハーレムでも、同性にとっては全世界に向けられた自分を陥れるための公開処刑に思える。牙を剥く美しき猛獣の彷徨うサバンナに丸裸で放り出された、いや、それとも自ら入り込んだとしたら狂気の沙汰。 群れから外れた無力なシマウマには獰猛な獣の餌という結末が待っている。
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