不思議な国のマリン

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マリンは俯いた。その視線の先に昨夜念入りに磨いたネイルがピカピカ輝き、努力の跡が空しさに拍車をかけた。束ねた髪の毛先の緩いカールや、上品なメイクに細身のスーツで渾身の企業努力をしたところで この人たちの前ではマリンは歯が立たない。 抗議したい気持ちだけは残したまま醜い蛙のように地べたで喚く。 『ミスコンの職場は女性差別で違法。統計的にも外見の美しさと能力の両方が備わっている人とそうでない人の割合は五分五分。コンプライアンスに問題があり。』 マリンはセクハラ会社をみかぎって自ら席を立とうかと本気で思い始めた。 プラカードのデモ女性たちとそれを力強くで押さえ込む警官たちとの間で小競り合いが始まった、彼女たちは声を張り上げ理不尽な事業主を交渉の場に引きずり出せと大合唱を繰り広げた。
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