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「…お前、時間も遅いしもう帰れば」
彼女に撫でられ隆哉は目を細めつつも彼を見る目は冷ややかで。
ツンケンした言い方にはなったが確かに時間帯もそろそろ夕食時に差し掛かる。
「えー!今日はお泊まり希…」
「邪魔だから帰れ」
コロコロと表情を変えぶうぶうと頬を膨らませる彼に隆哉はきっぱりと言う。
ここまで人にツンケンした態度を普段は取るような男ではない。形振り構わないと言うのは正にこれか。
「ひど!お兄さんひどいよ!」
事も無げに言われ横暴だと抗議する。
「うるさい。帰れ。…伊織、ぎゅってして」
「もちろん…今日は何だかいつもと違うね?」
ぴしゃりと彼にはいい放つその口調は彼女相手には柔らかいものへと変わる。
微笑み隆哉を優しく抱き締め髪を撫でる伊織は問いかける。
「そうか?あんま自分じゃわかんない。伊織…それ…気持ちいい…」
「ラブラブか!私の存在を無視しないでよぅ!」
すっかり二人だけの空間を作られ居場所なさげに吠える少年。
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