プロット全文

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それに、前に二人ならんでそれぞれ体操したら混乱するから降りてくれと晃司は佐伯にそれとなく頼むが言下に拒否される。その態度がいかにも「今の俺はおまえの部下ではないのだぞ」と言わんばかりだったので、晃司はすっかり感情的になって家に戻って妻の牧子に不満をぶちまけるが、相手にされない。実際、今はどっちが上でも下でもないのだし、連れ合いを亡くされているのだから少しは親切にしてあげればいいのにと言われてしまう。 それもそうかと晃司は佐伯にたまには飯でも食べないかと誘うが、仕事のつきあいでもないのに一緒におまえと飯など食えるかと拒絶されて頭に来てしまう。 どっちが長生きするのか、正確にいうとどっちが長いことラジオ体操に出席し続けるのか競争することになる。体に気をつけているから体操しているのかというと、そういうわけでもなくて、するつもりだなどという。 晃司が健康オタク化するに従った、噂を聞きつけた健康食品・サプリメント・健康器具のセールスマンが出没する。金がないのにやたら買いたがるものだから、息子夫婦は困るが、そのくせ気に入ると自分が買ったりしている。 医者に行ってほしかったらラジオ体操につきあうことを要求される。仕方なくつきあうが、年寄りと翔太ばかりかと思うと、意外といろいろな人がいる。 なぜ彼がラジオ体操にこだわるのか、聞かされる。保険会社勤めでいたとき、自分は保険会社の社員として加入者のライフプランなどを作ってきたが、急にすべてがばからしくなった。いつ死んでも別にかまわないというつもりだが、体が動かなくなったら自由に死ぬこともできなくなるので、最低限の健康管理をしていると佐伯は語る。     
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