0.或る男の嘆き、過去の噺

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『アタシね、130年くらい前だったかしら? そう…貴方がまだ《理想郷(デスレス)》に所属する前の頃ですの。覚えてますでしょう、彼女が目の前で殺されたのですから。──えぇそう、その時ですの。その時の彼が気になってますのよ。姿を直接目にした訳ではございませんが部下から報告がきましたの。「強い奴がいる、組織に誘えば安泰の可能性大いに有り」と。…ねぇ貴方。彼とお知り合いなんでしたっけ? 宜しければお声掛け下さいません事? …ウフフ、簡単な話。脅すなり何なりすれば良いのですわ。殺さなければアタシ手段は特に問いません。──あら。報酬は何か無いのか、って?』  僕が所属する組織の長である彼女は本を閉じてコチラを見る。 『そうですわね、成功した暁には貴方がお探しである彼女の魂の在り処を少しだけ教えてもよくってよ?』 .
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