0.或る男の嘆き、過去の噺

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 せめて断章ばら撒くならこの国にして。 僕は事情を彼に言うのだった。このままだと世界各地にばら撒きかねないので手間がかかる! 「アクシーゼ、アクシーゼ…。──あぁ~知ってる知ってる! 丁度僕の先輩と知り合いが住んでる国なのサ」 「へ?」 「え、何々ケンカ売んの? いいぜいいぜ面白くなって来たのサ! 折角だからこの"ルーク"様が『天涯』を通して伝えてやんよ」  何なんだこの展開。どうやら偶然アクシーゼという国に彼の先輩と知り合いがいるらしく、事情を話せば世界を映す鏡に『アクシーゼ』を映し、〈断章〉をその国にばら撒いてくれた。  鏡は水面の様に揺れる。僕はその鏡に飛び込んだ。 「──まぁ先輩は僕と違って冷酷なヒトだ。気を付けた方が身の為だと思うぜ、"アオイ"」
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