第1節-ローア・トゥ・ハルカンドラ-

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 アクシーゼという国は小国ながらも平和な方だ。そして130年前は商店街だった場所は今ではすっかりショッピングモールとなり、過去に起こった魔法災厄で半壊になってしまった僕の友人が住んでいたアパートや、知り合いが勤めていた『漁火海洋研究所』は新しく建てられている。また、発展すると同時に新しい店も増えていく。『愚者(フ-ル)』──魔法が使えない一般人が通える学校や天文館、更には洋菓子店。電化製品を修理する店が出来たと聞く。  時代は進む。科学は時に魔法を超えるのだろう。 「まっ、僕には負けてるけどねニンゲン達! 僕なんてこの船──『ローア』を完成させたんだから」  『宙を翔ける船なんて本当に出来るの?』とかつて友人に言われた事がある。どうだい、やってみせたよ! 「エヘヘ~、彼が見たらきっとビックリ──って電話かよぉ、驚いたなぁモウ! …ハイもしもし? 円卓の真幌 悠(マホロ ハルカ)ですが」  電話相手は年老いた声色で『天涯(ホライゾン)』と名乗った。あぁこれは嫌な予感だ、断章がばら撒かれたとか何かだろう。 「久しぶりだね"サイエンシス=ドターク"博士。あの時以来じゃない?」 『電話越しでの感動の再会を喜びたい所じゃが今はそれどころじゃない。ワシがお前さんに電話をやったという事はお察しの通り、魔法災厄じゃ』 「ですよねー。…で、場所は? 禁書──断章は何処にばら撒かれたか分かるかい?」 『お前さんの所じゃ。断章があるのはアクシーゼという国の何処かと聞いたぞ。禁書名は〈廻る星々の海〉…じゃったかな?』
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