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逃げている途中で追い付かれないか心配になり、恐る恐る何度か振り返る。
相手のスピードを考えると追い付かれる可能性は低そうだ。
にやけ顔で追いかけて来ているが、その足の遅さからみるみるうちに姿が小さくなっていく。
森の中ではあったが、通ってきた道には障害になるようなものがなかった事が幸いだった。
木が襲ってくるなんてやっぱりあり得ないと思うし、何かの間違いだと信じたい。ドッキリか??
俺の友達でこんな事、やるような奴いないとそう思いながら走り続けた。
少し見晴らしの良い草むらまで走り、休息を取る事にした。
「はぁ…はぁ…寝起きから駆けっこかよ」
寝起きに結構な距離を走ったが思ったほど、疲れてはいない。
普段から健康の為に走り込んでいた事が、こんなところで役に立つとは…
足がもつれて転けるなんておちは、こんな非常事態では笑えないよな。
相手の足の遅さにも救われた形だが、木が笑いながら動くとか、まさにおとぎ話の世界だよな。はははっ
それにしても、おとぎの世界か…
そして、自分の右腕を見つめた。
問題は、誰が何の目的で俺をここに連れてきたのか?ここはどこなのか?
その答えは恐らくこの右腕に装着された機械にあると思う。
少し落ち着いたところで、この見覚えのない機械を調べてみることにした。
機械を調べて見るとスイッチらしきものは見当たらない。液晶画面があり、指でクリックしてみると電源が入った。
「ロード中…」
しばらくすると画面が切り替わる
「ようこそ 仮想世界へ」
まじか…
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