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漫画の内容が変われば、やる気も出るのだろうが、
まさかTとしての権限を使って、原作者に書き直しを命じる訳にもいかない。
大体もう世に出てしまった後だから、書き直したとしても、此方が本当のシナリオと扱われる事は分かり切っている。
本当に困ったな。と、伊吹は一人思う。
あと少しで犯人逮捕に至りそうにも関わらず、
このやる気の無さ…………
Tの推理に期待している者たちに見せれば、
失神しそうである。
「ねぇ、伊吹くん」
「何でしょうか」
少しはやる気になってくれただろうかと、
期待せずにTを見る。
現在伊吹を振り回している人物は、
ベッドの上にちょこんと座っていた。
「ちょっと漫画の中に入って改変してきてよ」
「………………無理です」
一瞬、自分が馬鹿に思えた伊吹。
何故自分はこのような人に仕えているのだろうか。
……答えはこの人物が、恐ろしく頭が良い天才だからと言うものに決まっているのだが、時々本気で訳が分からない行動をしてくる為、天才と馬鹿は紙一重という言葉が現実味を帯びてくる。
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