異世界移動

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だが目の前の人物は、 懲りもせずに伊吹に無理難題を突きつけてくる。 「そんなこと言わずにさ、ほら触ってみてよ」 そう言って、その本の1巻を手に取り、 押し付けてくる。 渋々それを受け取って眺めた。 全体的に黒っぽく、一人の青年… T曰く夜神月が死神の鎌を構えている表紙。 何も不自然なところは無く、何も起きはしない。 そう思って、 パラパラと数枚めくったその時だった。 彼にとって、予想外の展開が起こる。 突然白紙のページが現れたかと思うと、 光を放ち始めたのである。 「伊吹くん!?」 Tが驚いて走って来る。 その姿を振り向いた格好で確認しつつ、 伊吹の記憶は其処で途切れる。 光は輝きを増して2人を飲み込み…… ようやく治った現場に残されていたのは、 床に落ちた1巻の漫画と ベッドに散らばる複数の漫画本だけだった。 その漫画のタイトルの名は……『DEATH NOTE』 テーブルの上に置かれた紅茶だけが、 飲む者が居なくなったことを主張して 湯気を立てていた。
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