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寒空の下、公園のベンチに座っている少女がいる。 直前まで室内の……しかもベッドにいたからか、 薄いネグリジェのようなものしか着ておらず、 素足の細い足は、悲鳴を上げていた。 まだ下がズボンらしきものを履いていた事が、 せめてもの救いだろう。 「痛いよ……」 小さな声で少女が言う。 分からない。何故こうなったのか。 場所も季節も………… そして何よりも……頼りにしていた無二の付き人が 居なくなっていた事が。 名探偵Tから只の少女に成り果てた。 そう自身で感じていた。 しかし、いつまでもこうしていては、 何も始まらない。 兎に角移動しなくては。 今は一刻も早く、暖かい部屋に入って、 じっくりと考えたい。 こう寒くては、推理力も低下する。 「先ずは交番かな」 恐らくは家出か誘拐かと思われるだろうが、 それで良いとTは立ち上がって、歩き出した。 少なくとも、此処よりはマシな場所な筈だ。
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