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一方此方は伊吹。
同じく寒空の下に放り出されたものの、
きちんとした衣服を着用し、
何よりもTがいない事を確認した途端に
働き出した頭脳が、彼の行動を早めていた。
恐らく……此処はDEATH NOTEの世界。
目の前に座る人物を見て、彼は思考する。
なんと彼が落ちた場所は夜神月の住む
夜神家の自宅の前であり、
丁度帰宅途中だった夜神月に発見され、
保護という形で、その自宅の中に招かれていた。
「大丈夫?えっと……伊吹さんだったかしら」
人の良さそうな女性が奥からやって来て聞く。
この人が夜神月……キラの母親か。
伊吹は小さく頷いて、また視線を戻す。
「取り敢えず、父さんに確認したら、
家で待ってろだってさ。
それで…記憶喪失って本当なのか?」
座っていたのは夜神月。
誠実そうな対応をしつつも疑っている。
どれだけ取り繕おうとも、
伊吹の前では完全に隠す事は不可能だった。
前職が前職だけに、この手のことは慣れている。
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