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そして視点はTの方へと戻る。
公園から出て、1人裸足で歩くT。
地理が分からない為、自身が無いが……
兎に角、大通り目指して突き進んでいく。
「はぁ……」
何時もなら吐かない溜め息まで出た。
伊吹がいなければ、私はこうなるのか。
通り過ぎる人々や車に、
内心止まれよと文句を言いつつ歩いていると、
漸く親切な人が現れたのか、
前からやって来た車が止まった。
「……大丈夫ですか。お嬢さん」
見るからに高級そうな車から降りて来たのは、
帽子を被った怪しい人物。
「…………」
思わず警戒するTに、
その人物は慌てて帽子を外した。
すると、人が良さそうな理知的な老人が現れる。
「私はワタリと申します。貴方は……見たところ薄着の上に裸足ですが、如何されたのですかな」
実は警視庁に赴いていたワタリ。
キラ逮捕への会議を終え、戻る途中で明らかに異質な少女を見つけて、ブレーキをかけたのだった。
「……迷子。助けて」
そして顔を見せたワタリに対して、
Tは保護を求める。
端的かつ無愛想な物言いだが、
言っているのは儚げな少女。
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