2.同窓会計画

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2.同窓会計画

その日は、夕方くらいから高校時代の友人IとKと僕の3人で集まり、車で大阪市内をブラブラしていた。 今だと、男三人が夜に集まって酒なしとか考えられないが、当時は普通に酒なしで楽しく過ごせてた。今から考えると凄いことだと思う。 高校の友達と話すとき、一通り大学生活の話が終わると高校時代の話になる。あいつ元気かなぁとか、久しぶりにあの子に会いたいなぁとか。 その日はいつもより昔話で盛り上がり、同窓会を計画しよう!ということになった。 卒業以来会えてない友達もいたし、仲の良かった女子友達には可愛い子が多かったので、久しぶりにみんなに会いたいって気持ちが強くなっていた。 Kは高校時代、一瞬だけ可愛い女子友達の一人と付き合っていた。すぐ別れてしまったみたいだが、Kは当時もまだその子のことが好きなようだった。 そしてKがその子に連絡して、お互いが男子、女子の幹事になって計画すると言い出した。 「おれ、電話番号わかるから今から電話するわ」 当時は携帯など普及してなく、やっとポケベルが出だした時代。なので電話=家の固定電話ということになる。 「夜やし家の人出るんちゃう?」 固定電話なので、本人が出るとは限らない。家の人が出たらつないでもらわないといけない。僕は一度、女子友達の家に電話してお父さんが出られて、名前を告げてつないでもらおうとしたところ、 「どういう友達か説明して」 と言われ一通り説明させられた経験があり、夜の電話がトラウマになっていた。当時ならではの心配である。 「オレ、家の人何回か話したことあるから大丈夫。」 「そうか、ほな頼むわ。」 僕はKに任せることにした。Iも同調する。 「しっかり同窓会のお願いするんやぞ!」 いつもあまり頼りにならないが、車から公衆電話に向かうKの背中がこのときは少し頼りに見えた。 このK、見た目はシュっとした男前だが、天然で抜けているところが結構あり、イケメンのくせにイケメンの雰囲気にならない、愛すべきアホだった。 こいつ黙ってればカッコええのになぁとよく思ったものだった。また、とっても良いやつなのだが、自分の感情のまま動いてしまうようなところがあった。 あまり後先を考えない。良く言えば情熱的、悪く言えばただの無計画な男だった。
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